事例紹介~あなたに合った利用の仕方~
③今は元気だから自分が後見人をしたいけれど・・・(リレー型)
①最初から最後まで第三者に任せて安心したい(専門職)
一人暮らしをする高齢の父に認知症の症状が見られ、施設入所を検討しています。
私(子)も私の兄弟姉妹も父とは離れて暮らしており、仕事も多忙であるため、父の金銭管理や施設の契約をできる者がいません。
弁護士等の専門家を後見人とする第三者後見が良いと考えられます。
第三者後見人は、金銭管理や契約ごとはもちろん、施設に定期的に通い、本人の状況や要望を把握します。後見人の候補者は裁判所に一任する方法もありますが、お願いしたい弁護士等を候補者に挙げて申し立てることもできます。良く相談し、状況を理解して信頼できると判断した方を候補者にするのが良いでしょう。
②私が関わっていきたいけれど、難しいことは・・・(分掌型)
高齢の妻に認知症の症状が出ており、妻はデイサービスを利用しています。
私たちの間に子供はおらず、同居する私(夫)が妻の身の回りの世話をしています。しかし、妻の認知症が進行しており、周りから施設入所を進められています。
私としては、引き続き妻の身の回りのことを私がやっていきたいと思っていますが、自分も忘れっぽくなっていて、難しいことや金銭管理については自信がありません。私が妻の後見人になれますか。
後見人は複数選任して権限を分けることもできます。今回の場合、財産管理を弁護士等の第三者、身上監護をあなたとして後見の申立てをすることが考えられます。
また、先々、あなたに不安が生じてきた場合には、あなたが後見人を辞任して、③のリレー型と同様、第三者後見のみにすることも考えられます。奥様としても、最初は第三者とあなたが並行して関わっていくことで、第三者と信頼関係を築いていく期間をとることができて、先々の安心につながると思われます。
③今は元気だから自分が後見人をしたいけれど・・・(リレー型)
私の長女には重度の障害があります。長年、私と夫ができる限り長女の身の回りのことや、金銭管理等を行ってきました。しかし、私も高齢になり、昨年には夫が亡くなりました。
私としては、長女のためにこれまでどおりにできることを、まだやっていきたいのですが、将来的にはこの子のことを誰に任せればよいのか、とても心配です。
お母さんがお元気なうちはまずはお母さんを後見人等とするのが良いと考えられます。
先々、お母さんが体調に不安が生じるような場合等に弁護士などの第三者に後見人を変更する手続き(辞任と選任)をとるのが良いでしょう。
お母さんが後見人となっている間にも後見人等を予定する方と連絡をとって状況を共有するなどして、安心して任せられる方に後任をお願いするのが良いと思います。
④これからも家族が支えていきたい(親族後見)
最近、高齢の父の物忘れが多くなってきました。この度、父の自宅が老朽化のためリフォームをする必要が出てきました。その費用を用意するため、父の定期預金を解約しようと銀行へ行ったのですが、銀行の方から、父の判断能力に疑問が残るので成年後見人をつけるようにと言われてしまいました。
今までも家族みんなで父を支えてきたので、これからも同じようにしていきたいというのが家族の希望です。
ご親族が後見人に就任するのが良いと思われます。
申立ての手順や必要書類については、お父様がお住まいの場所を担当する家庭裁判所で相談できます。
ただ、必要なものを集めたり申立書を作成したりすることまで手が回らない場合には、申立て手続きだけ弁護士に依頼することも可能です。(その場合の費用はこちら)
⑤自分の将来が心配(任意後見)
私は、今現在は特に何も問題なく生活を送っていますが、最近物忘れが増えてきたことを自覚しています。配偶者には先立たれ、子も遠い場所で独立しているので、近くに頼れる人はいません。
先々認知症等になったとき、自分でそのことを自覚すらできなくなってしまうのではないか、金銭の管理や施設への入所などができるのかといったことに不安を感じています。
弁護士との間で任意後見契約を締結することが考えられます。予め自分が決めた相手と契約することで、先々判断能力が低下した場合に、契約に従って金銭管理や施設の契約、介護関係の契約等を任意後見人が行うことができます。もちろん、お元気なうちはこれまでどおり生活を続けることが可能です。
契約内容はご希望・ご懸念を良くお聞きし、それに対応できるよう取り交わすことができます。
また、お元気なうちにも弁護士に財産管理等を委任すること、亡くなった後のことを考えて遺言書を作成すること、葬儀等に関して予めお願いしたい内容を契約して定めておくこともできますので、詳しくはご相談下さい。