世界の食糧事情はどうなっているのか。増え続ける人口。地球上の人口は現在の75億5000万人から30年には85億5100万人に達すると言われている。日本の人口は減少していくが、食糧の大半を輸入に頼っており、自給率は30%台にとどまっている。
と、本当に深刻な食糧問題ですが、今回は、私(兼業農家)の農作業の現場からの報告です。
今年の夏は暑かったですよね、夜でも30度の日がどれだけあったか。米とぶどうを主に生産する私(兼業農家)からすると、天候は作物の出来を左右するものなので、なんとも憂鬱な日々でした。子を思う親の気持ちに似ています。
ぶどうは、昼夜の気温差が無いと着色不良となり、糖度も上がらないし、米は暑さのため籾殻が厚くなり、乳白米(米が白く濁る)となり等級が落ちてしまうのです。高温対策として、ぶどう畑に夕方水をまくことや、田んぼでは、夜間も水を入れ掛け流しをするという方法がありますが・・・
日中の屋外での作業では、熱中症はこうして起きるだろうと、何度思ったことか、草刈りは刈払機を使いますが、人間が機械に操られているようで、作業中断のタイミングが難しい。もう少し、もう少しとエンジンを切れずにやっていると体力の限界を超えて事故の元ですね。
田んぼの水切り(排水をよくする)ために溝を掘る作業=手作業は、30分作業後30分休憩でやっととこさです。田んぼに生えているノビエ、ホタルイという、めっちゃ生命力のある水田雑草の除草作業は、前屈みでやるため、太陽光線が背中に突き刺さります。15分間で軽トラへ避難。車のエアコンで体温を下げないと。作業は早朝か夕方に限ります。
さらに、ぶどうの防除作業では、ゴーグルとマスクに合羽という真夏にあり得ない姿です。早朝、日の出前に開始しますが、どんなに急いでも太陽は昇って来るわけです。身体は当然ですが、汗ではめているゴム手袋の中で手はふやけております。
いよいよ米収穫の9月、台風でまたまた苦戦を強いられました。予定通り稲刈りが出来ずに、休みを多くいただくことに。事務所の皆さんには迷惑をかけてしまいました。
出来はというと、ぶどう(巨峰、藤稔)は平年並み、米(コシヒカリ)は、くず米が多くやや不良でした。
家族農業が減り、休耕田、耕作放棄地が増えるなかで、日本の農業のありかたを真剣に考える時だと思うのです。土のありがたさに感謝を。
「土 ものの命 ここに創まる」(住井すゑさん・作家)。
(事務局兼農家 冨田)