10年前の3月11日、真っ黒な大きな波が陸を襲い、人々や家々、車、船、樹木などをなぎ倒し、飲み込み、あらゆる人間の営みを大変な勢いで突き崩していきました。
 そして、原発の爆発は取り返すことのできない大きな被害でした。人間が暮らすことの出来ない国土まで造りだしたのです。
 いまも4万人を超える人々が避難先で生活をしているといいます。故郷に戻りたくとも戻れる見通しはありません。

 ほんの一時、原発に頼る生活を止めようという方向に進むかと思いましたが、ダメですね。福島原発事故は遠い昔の出来事であるかのように、あの恐怖は絵の中の出来事のようであり、所詮他人事だとしているように見えます。
 他方、地球で人類が生きるためには温室効果ガスゼロを目指すべきだとして、日本ではそのために「グリーン成長戦略」として原発を最大限活用するというのです。

 私たちは3.11から何を学んだのだろうかと疑問に思います。なにひとつ学ばないまま今日を過ごしているのではないでしょうか。福島原発事故から学んだドイツは2022年にはすべての原発を停止するといっています。ドイツに出来て日本に出来ないのはなぜなのでしょうか。

 原発問題は国の政策です。原発活用をきっぱり止める政策をとる政府はどうやったら作れるのだろうかと思います。核兵器禁止条約に積極的に参加する政府をつくるにはどうしたらよいのかと思います。政府の政策によって国民の生活と命を失われることのない政府をもちたいと思いますが、そのために、私たちに何が必要なのでしょうか。自問自答を繰り返す毎日です。

 (弁護士 蒲田 孝代)