私からは、日本に住む外国人について、少しだけお話ししたいと思います。
ここでいう外国人というのは、日本国籍を有しない方のことです。
外国人の方が日本で適法に滞在、生活するためには、「在留資格」が必要となります。在留資格は、よく「ビザ」と言われています(正確にはビザと在留資格は異なるものです。)。
外国人の方が直面する法律問題について考えるとき、いつもこの在留資格の問題を考えなければなりません。
例えば、「日本人の配偶者」という在留資格で日本にいらっしゃる方が、配偶者の方と離婚したいという場合には、離婚した後の在留資格は大丈夫なのだろうかと考えることが必要なのです。離婚後は、「日本人の配偶者」ではなくなってしまいますので、他の在留資格に変更可能かどうかを十分に検討しないと、離婚はできたけど日本で生活できなくなってしまいましたという事態になりかねません。
また、例えば外国人の方が何らかの刑事事件を起こしてしまったという場合も、その刑事事件によって、在留資格が影響を受けないかを考える必要があります。その方の在留資格の種類やどんな事件であるか等によって異なるので一概には言えませんが、退去強制されてしまわないか、されてしまわないためにはどんな方法があるのか、慎重に検討しなければなりません。
在留資格を失ってしまい、いわゆる「オーバースティ」という状態になってしまうと、事態はとても深刻となります。例えば、在留資格の変更や更新ができずに在留資格の期間が経過してしまった場合は、「三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万円以下の罰金」(出入国管理及び難民認定法70条1項5号)と定められています。また、収容施設に収容されてしまって自由を失ってしまうおそれや、退去強制されてしまうおそれもあります。
日本で暮らす外国人の方は、多かれ少なかれこの在留資格の不安を抱えながら生活されていると思います。外国人の方は、日本人も直面する法律問題に、在留資格の問題も加わってくるのです。
日本が外国人の方にやさしい国であってほしいと、切に願っています。
(弁護士 藤吉 彬)