・最近読んだ本
『日没』・『武器としての資本論』・『告解』・『憲法を守るのは誰か』・
『21世紀の戦争と平和』・『タイガー理髪店心中』・『ゼロエネルギー住宅』・
『香港 あなたは どこへ向かうのか』
・毎日新聞でのおすすめ記事
「松尾貴史 ちょっと違和感」・「高橋源一郎の人生相談」
・ラジオ
FMラジオ「j wave jam the world」(2021年3月終了)では「入管の実態」など社会問題を取り上げている
・ブログ
「桜井昌司 獄外記」では桜井さん(布川事件の冤罪を背負って44年。再審無罪を勝ちとった後、国賠を闘っている)の日常がアップされている
さて、「ブンリン」というのは『日没』桐野夏生著(岩波書店)の中での架空の国家組織。「総務省文化局・文化文芸倫理向上委員会」と説明されている。映画の映倫みたいなものらしい。
マッツ夢井が書く小説の中にレイプや暴力シーンがあり、それが読者から問題だと指摘があり、マッツ夢井は「ブンリン」から呼びだされる。
あなたの小説は犯罪を助長するから、ダメだと「更生」を命じられ、茨城県にあるという電波も届かない、脱走できない海岸の崖っぷちにある診療所に収容される。
社会に適応した「正しい」小説を書いて欲しいと言われる。「正しい」小説の基準は何か。誰にとって「正しい」のか。所長はじめ精神科医や元収容者とマッツのやり取りに引き込まれるが、収容中の執拗な拷問や仕掛けは、まさに戦前の治安維持法下の無法状態を想像させる。果たしてマッツは転向するのか。結末はどうなるのかどんどん引き込まれていく。『日没』は近未来を描いているのだろうか。
今の日本の「空気」がおかしすぎる。
(事務局長 冨田 常雄)