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今回は、友の会だより第72号の記事を抜粋して掲載します。

憲法改正草案

その中身は・・・  

弁護士 福富 美穂子

 友の会総会終了後にお時間をいただいて、「教えて憲法改正案の中身」というミニ講座を行いました。総会にご出席されていらっしゃらない方もたくさんいるかと思いますが、今、非常に危機的状況にある憲法についての話を、ぜひ、多くの方に知っていただきたいと思い、ミニ講座の復習も兼ねて、改めて紙面で要点を書かせていただきます。

1 憲法96条改正問題

 今、安倍首相は96条改正を前面に出して、参議院選挙の争点にもしようかという勢いです。「憲法を国民の手に取り戻そう!」なんて聞こえのいいスローガンも掲げられています。しかし、96条の改正、すなわち、憲法改正の要件を「総議員の3分の2以上の賛成で発議」から「総議員の過半数の賛成で発議」に変更しようというのは、憲法の理念を全く無視した非常に危険な発想なのです。そもそも憲法は、これまで権力者が暴走して国民の人権を侵害してきたという歴史への反省に立ち、権力者であっても人権侵害は許されない、国民は自由と権利(基本的人権)を保障されていることを謳ったものです。その憲法の改正要件を緩やかにするということは、それだけ、時の権力者の勢いによって、たやすく人権を制限する方向に進みかねないということを意味します。安倍首相のスローガンは、正しくは「憲法を国民の手から取り上げよう!」。聞こえのいいスローガンにだまされてはいけません。

2 96条改正のその先に

(1)96条改正の先に、自民党の大本命として9条改正があることは間違いありません。日本国憲法が平和憲法として世界から賞賛を得ているのは、9条2項によって戦力不保持、交戦権を持たないことを明記しているからにほかなりませんが、改正案ではこの部分が削られ、代わりに「国防軍」なるものが登場します。国防軍は、集団的自衛権を行使できるだけではなく、治安維持のための国民監視も任務とされていて、平和憲法の理念はどこへやら…
(2)さらには、侵すことのできない永久の権利として規定されている基本的人権も、改正草案では大幅に制限され、「公益・公の秩序」が基本的人権よりも優先されるような中身になっています。さらには、天皇制を中心とした国家主義の臭いもプンプンするような改正条文の数々に、本当にこれが日本の憲法だろうかと目を疑いたくなる改正草案です。
(3)恒久平和主義・基本的人権の尊重・国民主権、憲法の三大原則すべてをひっくり返し、明治憲法への回帰という色を強く打ち出した自民党改正草案。絶対に認めることはできません。今こそ、この危険な改正草案を撃退するための運動を活発化させる時期です。みなで大きな声を上げて、世界に誇れる素晴らしい日本国憲法を守りましょう。