刑事事件

1 刑事事件って?

刑事事件は、罪を犯したと疑われている人(報道等で容疑者と呼ばれたりしますが、法律上は被疑者・被告人と呼ばれます。)が、
①実際にその犯罪を行ったのかどうか
②犯罪を行ってしまったのであれば、どのような刑罰が適正であるか
を決める手続です。
刑事事件というと、殺人事件等を取り扱ったテレビドラマや映画が思い浮かぶ方が多いかもしれません。事件が起きて警察が動き、犯人を逮捕する。その後、法廷の場で犯人が裁かれ、刑事罰が決まるといった一連の流れは、ご存じの方も多いと思われます。
これらの手続は法律に則って厳格に進んでいきます。専門家から適切な時期に適切なアドバイスを受ける必要性が極めて高い分野のひとつということができます。

2 刑事手続の流れ

(1)成人事件の流れ
成人事件(20歳以上)の場合は、次のような流れで進んでいきます。逮捕・勾留等、身柄が拘束されるか否かは、捜査機関の申立に基づき、証拠隠滅の恐れや逃亡の恐れ等を総合的に考慮して裁判所が判断をします。
なお、裁判員裁判は、裁判のやり方が異なるのみであり、基本的な手続の流れは同じです。

※逮捕されずに捜査が進む
場合(在宅)もあります。

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(2)少年事件の流れ
20歳未満の方は、男女の性別を問わず、少年法上の「少年」として扱われます(選挙権が18歳に引き下げられましたが、少年法の適用は平成28年9月現在において20歳未満とされています。)。
少年が犯罪を行ってしまった場合や素行不良で犯罪を行うおそれがあるとされる場合、警察の捜査が終わった段階で、成人事件とは異なり、家庭裁判所に事件が送られます。そこでは、法律だけではなく、心理学等に精通した家庭裁判所調査官と呼ばれる専門家が関与して、少年の生育歴から学校や家族の状況まで調査を行います。そのうえで、家庭裁判所は、少年をとりまく環境をあらゆる視点から検討し、少年が更生するためにはどのような処遇が必要であるかの判断をします(判決ではなく、少年審判といいます。)。
このように、少年事件においては、成人事件よりも本人の更生を重視した手続が用意されています。

3、弁護士の活動について

(1)被疑者・被告人側からのご依頼
刑事手続は、警察・検察という国家機関がその権限を用いて捜査をおこなうため、一方的な手続になりがちです。もちろん、法律上、被疑者・被告人にも黙秘権等の権利や保釈等の制度が存在しますが、専門家による適切なアドバイスがなければ、これらの権利を行使したり制度を活用したりすることは難しいといえます。
警察等に逮捕されている場合、まず弁護士は面会(接見といいます。)に行き、本人と話をします。弁護士は、時間制限も立会人もなく、じっくりと本人から話を聞けるので、黙秘権等、保障されている権利の説明を行うとともに、事実関係を確認して、今後の方針を立てます。
①身に覚えのないことで捕まっている場合、刑事裁判にさせないようにすること(不起訴)や、刑事裁判において無罪を争うことはもちろん、
②犯罪を行ったことに間違いがないという場合でも、本人と共に事件を振り返って反省を促し、今後どうしていくかについて話し合います。仮に裁判となってしまっても、これらの反省が裁判において反映され、執行猶予を含めた適切な処罰がなされるよう弁護活動を行います。
また、裁判の場以外であっても、本人やご家族の話を法律的に構成して、検察官や裁判所に対して意見を述べたり、不当な扱いに対して異議を述べる等の活動を行うと共に、身柄拘束からの早期解放(保釈等)の手続についても各手続の段階に応じて説明・提案をさせていただきます。
さらに、家族と連絡を取り合い、手続の流れや本人の状況を的確に説明したり、本人やご家族に変わって被害者と示談交渉を行うなど、事件全体の解決に向けたサポートをします。少年事件の場合、弁護士は、少年の「付添人(つきそいにん)」という立場で関わり、被害者との示談交渉のみならず、学校やご家族とも協力をし、当該少年に寄り添う形で、少年審判ひいては少年自身の立ち直りに向けたサポートをします。

(2)刑事事件の被害に遭われた方
刑事手続は、あくまでも被疑者・被告人が罪を犯したのか、適正な刑事処罰はどのようなものかという観点で進められていきますので、犯罪被害に遭われた方の被害回復については別途考えられなければなりません。
具体的には、
①加害者側から示談の話があったが、提案に応じるべきか
②加害者に対して適切な賠償を請求したい
③刑事裁判手続に参加したい
これらについても、弁護士は被害に遭われた方の代理人として活動が可能です。

4 最後に

刑事事件は、加害者側であっても被害者側であってもその人の人生において大きな影響を及ぼすことになります。適切な時期に適切なアドバイスが必須であり、専門家である弁護士に相談することを強くお勧めいたします。

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