前回のコラムタイトルを勝手に拝借しました。
2016年4月から、「障害者差別解消法」という法律が施行されています。
これは、その名の通り、障がいのある方々への差別を無くしていきましょうという法律です。 法律の中では、障がいのある方々への「合理的配慮」が求められています。
「合理的配慮」というと、とても難しく聞こえます。 ただ、これは、それほど難しく考える必要はありません。

例えば、通りすがりの人から、道を教えてくださいと尋ねられたらどうするでしょうか。
ある人は、分かりません。時間が無いのでごめんなさい。といって断るかもしれません。また、ある人は、足を止めて丁寧に説明をしたり、近くの交番や目的地まで一緒に行ってあげるかもしれません。

「合理的配慮」は、障がいのある方々からの求めに応じて、その方が必要としている手助けをしていきましょうということです。もちろん、負担が重くならない範囲で大丈夫です。

大切なのは、相手の立場に立って、どのような助けを必要としているのかを考えることだと思います。私自身、ベビーカーを押して出かけた際、「普段歩いていると気づかなかったわずかな段差や坂がこんなにあるのか!」ということや、「エレベーター少なすぎる(遠すぎる)!」等の不便さを感じました。その時、車いすを利用されている方は、その不便さの中で生活を送っているのだと実感したことをよく覚えています。

この法律は、「差別」をした人や「合理的配慮」をしなかった人を罰する法律ではありません。障がい者の方々も暮らしやすい社会にしていきましょうという理念を表した法律です。
私は、この法律を、「思いやりの法律」と考えています。

(弁護士 萩原 得誉)