弁護士の小川です。
今回のコラムではおよそ120年ぶりに行われる民法(債権法)改正についてご紹介します。

現在の民法の制定はなんと明治29年に遡ります。
その後第二次世界大戦後に家族の在り方などを定める親族相続の条文が改正されましたが,債権法と呼ばれる様々な取引活動に関する条文はほとんど改正なく利用され続けていました。

そんなに長い間利用できているのであれば,なぜ今更改正するのでしょうか。
それは,現代社会の変化に民法を対応させるためです。
現代社会は情報化や高齢化が進んでいます。
また,取引活動はより複雑かつ高度に変化しています。
このような現代社会に現行民法が対応しきれていないのではないかという懸念から今回の民法改正が進められました。

また,今回の改正にあたっては,より国民に分かりやすい民法にすることも目的とすることになりました。
いままで判例(裁判の結果)や条文の解釈によって生み出されていた,「法律に書かれていないルール」を民法に明記することが行われました。

代表的な改正を紹介すると,①消滅時効,②利率,③保証契約,④定型約款,⑤意思能力,⑥将来債権の譲渡,⑦賃貸借契約などがあります。
①~④が社会の変化に対応した改正で,⑤~⑦がルールの明文化のために行われた改正です。

とはいえ,読者の皆さんは「関係ないじゃん」と思っていませんか?
そんなことはありません。
例えば私たちがアパートを借りるとき,車を買う時,お金を借りるときetc…人生の様々な場面で私たちは民法のルールの中で生活しています。
だからこそ,どこかで今回の改正も私たちの生活に関わってくるはずなのです。

紙幅の都合で,今回のコラムでは改正の詳細についてご紹介することはかないませんが,民法は我々の暮らしに関わる法律ですので,ぜひ注目してみてください。

※今回の改正は,一部の規定を除き,平成32年(2020年)4月1日から施行されます。

(弁護士 小川 款)